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●英国骨董ハンティングの旅その28

第28回 中世の香り漂う町・ヨークとヨーク・ミンスター

 ヨークへの旅は、1993年から買付のためにイギリスを訪問して以来、2度目となります。このヨークという街は、いつも買付の仕事を中断して物見遊山に熱中させてくれる街なのです。街を取り囲む城壁は、一周約5kmほどで、入口のストーンゲートを通り、中世から残っている石畳の道を歩いてゆくと、中世の世界にでもタイムトリップしたような錯覚に陥りそうな、ティンバーフレームの建物が、左右から道にせり出しています。

 ヨークの街のシンボルであるヨーク・ミンスターは1220年に建築が始められ、実に250年以上の年月を費やし1472年に完成したと言われます。イギリスの大聖堂(カテドラル)では、ロンドンのウエストミンスターが有名ですが、規模の大きさではヨーク・ミンスターの方が大きく、世界最大のゴシック建築で、ここに入れられている大きなステンドグラスは、一枚の窓にはめられた物としては世界最大の面積を誇る物です。

 さて前回の訪問から7年ほど経っていましたので記憶も薄らいでおり、もう一度内部を良く見て見たいと思い入口に向かうと、青いガウンを着た人に、これから30分サービスがあるので、表で待っているように言われ、扉を閉めらてしまいました。連れのIさんは「一体何のこと?」とキョトンとして私の方を見ました。

 さてここで英語の「サービス」と言う言葉が、礼拝を意味していることを知っている人は何人いるでしょうか? 青いガウンの人は午後の礼拝が30分あるから、それが終わるまで外で待つように言ったのでした。

 ちなみにキャンドルサービスは「燭火礼拝」を意味し、クリスマスにキャンドルを燈して礼拝することで、決して結婚式で、新郎新婦がキャンドルの火を各テーブルに点火して廻ることではないのです。(英米人にとっては結婚式のこの習慣がとても滑稽に見えると思います。)

 また、朝の礼拝のことをモーニング・サービスをいい、決して喫茶店の朝のパン等が付いた軽食を意味する物ではありません。ちなみに夕方の礼拝は、イブニング・サービスといいます。この大聖堂の地下には、修復時に発見されたローマ時代の遺跡が展示されています。

 この街の中には、博物館や美術館が数多くありますが、今回は国立鉄道博物館を訪問しました。まず第一にその規模の大きさと、充実振りには鉄道ファンならずとも驚かされます。イギリスは鉄道発祥の地といわれますが、ヴィクトリア時代のものから、中国、アメリカ、インド、日本の新幹線の初期の「こだま」まで展示されています。一体どうしてこんな大きな物をここまで運んだのだろうと、その労力に敬服します。

ヨークミンスター

このエッセイは10年以上前に書き上げたものですので、現在の状況と違う点があるかも知れませんがご了承下さい。
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●英国骨董ハンティングの旅その27


第27回 通関手続きの苦労


 今回の買付(2004年5月)では、久しぶりにジョンブロードウッドのピアノを見つけることができました。
 ジョンブロードウッドは、世界で初めてピアノにペダルを取り付けることを考案したメーカーであり、ベートーベンが愛用したピアノであることで有名ですが、今回見つけたピアノは1910年頃のものと思われます。 (年代については入荷後チャートとシリアル番号で調べる予定ですが)、年代から推定して当然に象牙の鍵盤が使用されています。
この象牙がワシントン条約に違反するため、輸入が難しいのです。

 このピアノは当然のことながら、条約発効前に製造されたピアノですが、鍵盤を剥離せず正規に輸入するためには、製造年月日を証明する書類と、輸出国の輸出許可書を当局へ提出し、許可を受けるわけです。
 しかしながら、許可が下りるには半年以上待たなければなりません。現地の彼らにその話をすると「 Red tape is teriffic.」(お役所仕事は最悪だ)とぼやかれました。仕方なく私は、ホームステイ先のジャックに、アイロンとタオルと、スクレーパーを用意してくれと頼みました。

 さて私は、ピアノの鍵盤蓋と鍵盤押さえを外し、鍵盤を一本づつ取り外し、濡れタオルを用いて、上からアイロンを当て、鍵盤の象牙を取り外しにかかりました。充分に熱したアイロンを当てると、鍵盤の接着に持ちいれられているニカワが溶け出し、鍵盤が浮いてきます。それを指で捲るわけですが、中には、なかなか強情にくっついている物があります、そうした物は、スクレーパーを使って剥がして行きます。全部の85鍵を剥がすのに、およそ2時間ほど掛かりました。
このピアノは交差弦(オーバーストラング)のアップライトでした。

 この時代のピアノはほとんどが垂直弦であって、交差弦の物は、5台に1台くらいで、探し出すのに結構苦労します。欲を言えば88鍵が欲しかったのですが、これがまた古い物では難しい。
ヤフーのオークションに垂直弦の象牙のキーの85鍵のジョンブロードウッドのグランドを500万円もの高額で出品している同業者がいましたが、オーバーホールもせずに、輸入許可も受けずに、この価格とは、ちょっと首を傾げたくなります。おまけにこのピアノは平行弦(垂直弦)でした。

 オーバーホール済みの88鍵の交差弦の物でも、この価格ではいささか高すぎる気がします。現状渡しですと5分の1以下でしょう。案の定、入札は全くありません。

 最近は特に、現地に買付に行かずに、輸入専門の代行業者に輸入を任せ、そこから仕入れて堂々と直輸入と銘打って販売している無責任な業者が増加しているように思われます。そうした業者で購入した家具を、当社に修理して欲しいと依頼されるお客様が時折おられます。
資金力に任せて、多角経営の一環としてアンティーク家具を取り扱うような無責任な売り方は、アンティーク家具屋自身の信用を失墜する物であり、販売した家具にたいしては、最後まで責任を持って欲しい物であります。

 現地へ買付に行っている業者が、輸入にどれだけ苦労をしているか、一般の人にも知ってもらいたい次第です。


ピアノアトラス
(世界中の主なピアノの年代が、シリアル番号で調べられるピアノアトラス)
このエッセイは10年以上前に書き上げたものですので、現在の状況と違う点があるかも知れませんがご了承下さい。

●英国骨董ハンティングの旅その26


第26回 イギリスの田舎のパブ

 ロンドンのパブには入ったことがありませんが、私は田舎のカントリーパブが大好きです。日本では飲み歩く習慣の全くない私ですが、イギリスの田舎のパブは、日本の酒場とは全然違う存在なのです。

 そもそもパブとは、パブリックハウスの略であって、一般の家庭が、プライベートハウスであるのに対して、パブはみんなで楽しめる共通の家のような存在なのです。

 日本のバーなどは素面(しらふ)では馬鹿馬鹿しくて耐えられないけれども、イギリスのパブはいわゆるコミュニティーセンターのような役割を担っていて、子供連れでやってきて、食事だけする人も結構多いのです。そこでは土曜日ともなれば、近所の人たちが集まってきて、食事や、ビールを飲みながら、生演奏を楽しんだり、雑談や、世間話を交わし、情報を交換する場所であるわけです。

 またパブの親父さんは、たいていは人懐っこくて、世話好きの人が多く、やってくる人達も人のよさそうな、お爺さんや、犬を連れたお婆さんがいたりして、すこぶる雰囲気がいいものです。店の一部がたいていはカウンターになっていて、そこでビールを注文するときは、代金をその場で支払うのが原則となっています。また部屋の片隅は、暖炉になっているのが普通で、その周りには、真鍮で作られたいろんなオーナメントが飾られています。また壁にはウオールランプが灯りをともしていて、馬具なんかがかけられていることが多くカントリーパブの雰囲気がとても楽しいものです。

 またパブごとに独自の醸造元を持っていて、それぞれ味の違う地ビールをたのしめるのも特徴です。

ヨークシャのパブ
(左・筆者、右・同行者の泉氏)

●英国骨董ハンティングの旅その25

第25回 私流西洋式お風呂の入り方

西洋式のお風呂に入るのに、今でこそバスタブの外で、身体を洗うような人はいないでしょうが、それでもイギリスの一般家庭のお風呂は、我々にとってはかなり戸惑いの対象です。

 林望(リンボウ)先生の「イギリス観察事典」にもそのことは書かれていますが、私のホームステイ先のムーア家のお風呂もかなり使いにくい部類に属します。イギリスの普通の家庭のバスルームにはトイレと洗面台とバスタブが設置されていますが、シャワーがついていない場合が結構あります。おまけにムーア家のバスルームの床はふかふかの絨毯なのです。その絨毯の上におしゃれなバスタブが置かれているのです。

 泡だらけのバスタブの中で身体を洗っても、その後、身体の泡を流すシャワーが付いていないのです。
 そのために泡だらけのバスタブのお湯を抜き、新たに身体の泡を落とすためにお湯を張るようなことは、夏なら可能でしょうけれども、冬ならば、裸でお湯の溜まるのをバスタブの傍で待っていれば風邪をひいてしまいます。

 彼らに言わしめれば、泡だらけの身体をそのままバスタオルで拭いてしまえばよいのだといいます。我々にすればそんなことをすれば、身体に石鹸分が付着して、皮膚に良くないように思うのですが、彼らはそんなことは一向に気にしないようです。小さいときからそのようにしてバスを使ってきたので、何の戸惑いもないようなのです。(そういえば彼らは、食器を洗うときも、洗剤で洗った後、水洗いをせずにいきなりフキンでふき取ってしまう)

 そこでイギリスでの私流のお風呂の入り方を披露しておきましょう。
 まずお風呂にお湯を張る前に、洗面台にかなり熱いお湯を適量に張っておき、タオルを1枚入れておきます。それからバスタブにお湯を張りながら、洗面台とバスタブの間にバスタオルを広げ、道を作ります。バスタブにお湯が溜まれば、もう一枚タオルを使って、バスタブの中で、泡を立て身体を洗うわけです。洗い終われば、先ほど敷いておいたバスタオルの上を歩いて(絨毯をぬらさないため)洗面台に行き、浸かっているタオルを絞って(このころには熱湯もさめてちょうど良くなっている)身体を濡れタオルで拭きます。(身体についた石鹸分を落とすためである)そして最後にようやくバスタオルで身体を拭いてしまいます。

この方法には、普通のタオル2枚とバスタオル1枚が必要となります。(幸いなことに、ムーア家のバスルームにはタオルだけは、十分にいつも用意されています。)

 もちろんシャワーのついたホテルなどを利用される方は、このような苦労をされる必要はないと思うが・・・。
このエッセイは10年以上前に書き上げたものですので、現在の状況と違う点があるかも知れませんがご了承下さい。

●英国骨董ハンティングの旅その24


第24回 実際の買い付け現場を再現する。その3
(2001年・コミュニケ53号掲載)

 イギリスでの買い付けは、私の場合ランカシャーおよびヨークシャーが中心ですが、最寄りの空港といえばマンチェスター空港になります。イギリスまでの航空運賃は大韓航空が一番安いようですが、(私の経験では)残念ながら大韓航空はロンドン(ヒースロー空港)にしか乗り入れていませんので、ロンドンからマンチェスターまで国内線(ドメスティック)を使うとかえって割高になります。そこでいつも私は、KLMを使っています。KLMですと、オランダのスキポール空港経由でマンチェスターに入ることができます。

 マンチェスターに到着すると、いつものようにジャックが車で迎えに来てくれています。たいていはこのままジャックの家へ向かって車を走らせるのですが、今回は彼の家が内装工事中でホームステイができないため、彼の友人の経営しているホテルに格安で泊めてもらうことになりました。

 凍てつくような寒さの中、車を走らせていると、公道の脇に建っているスタークハウスホテルという看板が目につきます。ここを右に曲がると、乗用車が2台はすれ違えないほどの細い道が緩やかに右へカーブしています。路の所々には車がスピードを出さないよう、わざと凹凸が作ってあり、200メートルほどゆっくり進むと、石造りの2階建ての建物の前に出てきました。

 この古色蒼然とした建物は、およそ250年前に建てられたもので、現在のオーナーの先祖が、この辺り一帯の大地主だった頃、地域の人々からスタークハウスと呼ばれていたものをホテルに作り変えたもので、名前もそれに由来するわけです。

 駐車場から石造りの門を入り、両側が芝生の石畳を進むと玄関に出ます。重い板戸を開けるとフロントで、一歩足を踏み入れるとラウンジには暖炉があり、パチパチと薪が燃え盛っています。暖炉の前の革張りのソファーに腰を降ろし、冷えた体を暖めていると、時差ボケの疲れから眠気を催してきます。

 チェックインを済ませ、フロント脇の回り階段をギシギシいわせて上がって行くと、2階(ご存じと思うがイギリス英語で言うファーストフロアー)は寝室になります。

 翌朝、1階(グランドフロアー)の食堂で軽い朝食をしていると、どこから侵入したのか1羽のコマドリが食堂の中を飛び回っており、客の床に落としたパンくずを啄んでいました。

 9時にジャックがホテルまで来てくれて、買い付けの1日目が始まりました。まず最初の仕事は、取引銀行へ行くことからです。銀行では私の送金が、無事に自分の口座に入金となっているか、現在の残高を確認します。それから多少の現金を小切手を切って引き出します。これはサンデーマーケット等の小さなショップでは、小切手では買い物を断られることが多いため、常に幾らかの現金を持ち歩いていることが肝要だからです。特に今回は、息子のサインも銀行に登録をして、小切手を息子も切れるように頼むことにしました。

 イギリスでは日本のように持参人払いの小切手ではなく、必ず記名式になっています。また、銀行によっては、当座預金でも利息を付けてくれます。ちなみにヨークシャー銀行は1%の利息を付けてくれます。(参考までに定期預金は年利6%です)
このエッセイは10年以上前に書き上げたものですので、現在の状況と違う点があるかも知れませんがご了承下さい。

Stirk House Hotelの写真
Stirk House Hotel (トリップアドバイザー提供)
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嶋村 健治

Author:嶋村 健治
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